アディーレ法律事務所は、とても有名な弁護士事務所です。ただ、その分ネットを見てもあることないこと書かれているというか・・・。情報に信憑性もありませんでしたので、自身で調べてみることにしました。
下記、その内容をまとめたものです。
目次
代表弁護士石丸幸人氏の経歴
アディーレ法律事務所の創立者で現在の代表弁護士である石丸幸人氏は1972年8月生まれの44歳ですが、若干32歳の若さでアディーレ法律事務所を設立し現在の拠点数は全国に83拠点と全国一の規模を誇る法律事務所に至っています。
2017年6月現在の同事務所の従業員数は1,000名を超えうち弁護士は180名を超えています。
その結果、石丸幸人代表弁護士は法曹界だけでなく広くメディアから注目を集め、「行列のできる法律相談所」「スーパーモーニング」等テレビ出演は多数で著作物も多岐に渡り出版されています。
そして、メディアに注目されるが故に賞賛と共に様々な批判やバッシングも受けています。
そこで、本項では石丸幸人代表弁護士の経歴を時系列に沿って客観的に整理し、賞賛・批判・バッシングの中でどれが正当でどれが不当なのかを判断する材料にしたいと考えます。
- 1995年:横浜国立大学第二経営学部卒業
- 1995年:(株)セガ・エンタープライゼス入社。北海道帯広で系列のゲームセンターの副店長となる。酒気帯び運転で3回逮捕され懲役9月執行猶予4年の有罪判決を受けセガからは懲戒解雇される。留置場の中で弁護士になることを決意したと言われる
- 1996年:(株)フューチャー・テクノロジー入社
- 1997年:(株)パソナソフトバンク入社
- 2001年:司法試験に合格(29歳・司法修習56期)
- 2003年:東京弁護士会弁護士登録・都内大手法律事務所勤務
- 2004年:アディーレ法律事務所設立
- 2005年:同事務所をサンシャイン60に移転させ弁護士法人化・代表弁護士就任
- 2009年:東京弁護士会会長選出馬
- 2010年10月:所属する東京弁護士会から戒告の懲戒処分を受ける。依頼を受けた2件の会社に対する破産申立を1年以上怠り会社財産の費消を放置 し、債権者に配当する財産を失わせたという理由
- 2016年2月 :「過払い金返還請求の着手金を今だけ無料や割引にする」という宣伝を5年近く続け、消費者庁から景品表示法違反(有利誤認)に当たるとして措置命令を受ける
- 2017年4月 :東京弁護士会から「懲戒審査相当」と議決される
- 2017年:北里大学医学部に通学中
上記が石丸幸人代表弁護士の主な経歴で一般的な弁護士イメージとは相当かけ離れており、良い意味でも悪い意味でもメディアの格好の標的となる要素を含んでいると言えます。
まず、石丸幸人代表弁護士は大学卒業後(株)セガ・エンタープライゼスという一般企業でサラリーマン生活を経験しました。そして、その一般企業での最初のサラリーマン生活は、酒気帯び運転で3回逮捕され懲役9月執行猶予4年の有罪判決を受けたことで懲戒解雇されるという大きな挫折を味わっています。
つまり、ここまではよくある典型的な駄ダメ社員の転落の軌跡に過ぎず、このことが後々の石丸幸人代表弁護士への批判・バッシングの背景になっています。
ただ、ここからが石丸幸人代表弁護士と凡人の違うところで、一念発起してベンチャー企業勤務を続けながら司法試験の勉強を始めました。
1995年に酒気帯び運転で逮捕された時に留置場の中で弁護士になることを決意したと後に述べています。そして、2001年に29歳で司法試験に合格しました。つまり、酒気帯び運転で逮捕され解雇されたダメ社員が、司法試験に合格することで一気に人生の遅れを挽回したと言えます。
その後は破竹の勢いでアディーレ法律事務所を全国一の規模の法律事務所に育て上げました。
ただ、急拡大した組織にありがちな管理の不徹底から2010年に東京弁護士会から戒告の懲戒処分を受け、昨年、消費者庁から景品表示法違反(有利誤認)に当たるとして措置命令を受け、今年、東京弁護士会からアディーレ法律事務所と代表の石丸幸人弁護士と複数の所属弁護士が「懲戒審査相当」と議決され現在、審査されている最中です。
したがって、ネット情報に於いて石丸幸人代表弁護士が酒気帯び運転で逮捕され懲戒処分を受けたなどの記述は事実誤認で、明らかに過去と現在を取り違えており不当な批判と言えます。
また、批判・バッシングの多くは1995年の酒気帯び運転で3回逮捕された件と、2010年に東京弁護士会から戒告の懲戒処分を受けた件の蒸し返しです。つまり、既に、完全に決着した過去の不祥事を不当に蒸し返しているに過ぎません。ただ、2017年4月に東京弁護士会から「懲戒審査相当」と議決された件については、現在、審査中で決着していません。
悪徳や怪しいとも言われる理由
アディーレ法律事務所の評判を公平に判断するために、ネットの口コミ情報を「良い評判」「悪い評判」「債務整理者からの評判」に分類し、できるだけ多く抽出してみました。(内容は要約し同じ様な内容の口コミ情報は1つに集約しました)
「良い評判」
- 正式依頼すると決められたフォーマットで事務的に処理され早い。
- 最初の相談は事務員対応みたいですが段取りはスムーズ。
- 料金は明確で、わからないことは教えてもらえます。ただ費用は平均的。
- 柔軟に対応できるみたいで事務所の組織としては良いかも。
- 過去25万件の相談実績がある。
- 多くの評判、口コミが生まれるのも「それだけ数多くの方が信頼して利用している」ということになってきます。
- パンフレットやホームページに所属している弁護士の顔写真とともに実績を明確に記載していて安心できる。
- 数多くの案件を抱えているので、弁護士のせいだけでなく特殊な依頼においてイメージダウンされてしまうケースがある。
- 他の事務所に比べて弁護士数に対して事務員の数が多い
「悪い評判」
- 基本的にテレビで大々的にCMを流している弁護士事務所や司法書士はなんか胡散臭い。
- 報酬が効率的に取れない内容は敬遠されることもある。
- 広告費を多くかけて利益を追求している。
- 弁護士はほとんど表に出てこず事務員とのやり取りとなる。
- 弁護士が多く能力にバラつきがみられる。
- 懲戒処分の苦情がきている。
- 実績では債務整理に特化しているので離婚調停などのイメージがない。
- 評判は悪くないので利用価値はあると思いますが、対応の速さでちょっと不安が残ります。
- TVCMでイメージを演出していますが、多くの支店・弁護士が存在する為に一概に「全てがパーフェクト」とは言い難い部分もある。
- 利用者に対し、どうしても高圧的な態度、高飛車な姿勢という噂も絶えません。
- 過払い金返ってきた殆どが手数料で払ったと聞いた。
- アディーレはヤクザと変わらない業者です。
- 法律を盾にして金がない債務者から多額の仲介料金を取ってます。
- この業者は債務者の心配などしません仲介料金さえ取れれば債務整理後の債務者のことなんてどうでもいいと。
- 担当者がコロコロ変わるし対応が遅い。
「債務整理者からの評判」
- 一般的な任意整理や過払い金の対応はスムーズ。
- 業界では「債務整理のアディーレ」という見られ方をしている。
- 現在手続き中ですが電話対応での質問も夜遅くまで対応なので便利だと思う。
- 時間がかかることも往々にしてありますが対応は良いと思います。
- 弁護士の数が最多とか聞いていたので決めました
- 出張相談があるそうなので近所に法律事務所がない人はとっても便利そう。
- 分割払い可能は有難いです。ただ依頼数も多いらしく時間もかかるかも。
- やはり債務整理の専門知識を持つ弁護士事務所がおすすめです。
- あとは、無理なく事務所まで自宅から行けることは以外と重要です。
- 債務整理の実績があり何度でも無料相談できるところを。
- 費用のことがはっきりしている点と担当弁護士の人柄がよかったところに依頼しました。
- 債務整理に高尚な理念は必要ない。
上記の「良い評判」の中にはアディーレ法律事務所のシステムを評価する声が目立ちました。
アディーレ法律事務所では180人の弁護士をリーダーにして司法書士と事務員がチームを組んで対応します。その様なチーム制で過去25万件の相談実績があるということは事実です。
「悪い評判」の中には、逆に上記のシステム的な対応への不満が目立ちます。事務員が高圧的とか弁護士がなかなか出て来ないなどです。また、手数料・仲介料が高いなどです。
ただ、これらの悪い評判の大半は自分の経験ではなく、他人からの又聞きや受け売りが多い印象です。
「債務整理者からの評判」は意外に悪くないのに驚きました。対応がスムースとか便利・夜遅くまで対応など組織的な対応に対する評価が見えます。また、債務整理手続に高尚な理念は必要なく、システマティックに対応してくれれば良いという印象です。
つまるところ、アディーレ法律事務所に対する悪徳や怪しいとも言われる理由は、多重債務者などが債務整理手続や過払い金返還などで取り戻したお金の上前をハネている印象が付きまとっていることが大きいように感じます。
つまり、成り上がりの若手弁護士が多重債務者の上前をハネて、気が付くと日本一の規模の弁護士事務所に成長したことに対する「やっかみ」「ジェラシー」が「悪い評判」の根底にあるようです。
しかしながら、多くの債務整理者が言っている様に債務整理手続に於いては、高尚な理念は必要なくタイムリーで迅速な手続が必要なのです。
ヤクザ(暴力団)との関わりがあるのか噂を検証
この項目でも全項と同様にアディーレ法律事務所の評判を公平・客観的に判断するために、ヤクザ(暴力団)との関わりに関するネットの口コミ情報をできるだけ多く抽出してみました。
「アディーレ法律事務所とヤクザ(暴力団)との関わりに関する口コミ情報」
アディーレはヤクザと変わらない業者です。
アディーレ法律事務所は芸能人・ヤクザ(暴力団)絡みの事件の弁護を多く担当している。
法律を盾にして金がない債務者から多額の仲介料金を取っているのはヤクザの手口と同じ。
仲介料金さえ取れれば債務整理後の債務者のことなんてどうでもいいと考えている。
弁護士って正義のみかただと思ってるけど実際は法律内のヤクザだからね。
仕事は適当でストレス発散のような電話対応、ヤクザみたいな言い掛かりの三拍子、相談しなけりゃよかった。
上記の通り実際にアディーレ法律事務所とヤクザとの関わりに関する口コミ情報を検索しましたが、上記の口コミ情報程度の情報しか検索できませんでした。
つまり、アディーレ法律事務所とヤクザが関わりがあるという決定的な口コミ情報は見当たりませんでした。
そこで、考えられるのがアディーレ法律事務所が闇金に強いと言うことと、アディーレ法律事務所がヤクザ絡みの弁護を多く引き受けていることです。
もともと、闇金とヤクザ(暴力団)はつながっているのは誰もが認めるところですが、闇金問題の解決能力がある法律事務所というのは実はあまり数が多くありません。アディーレ法律事務所は闇金に強い法律事務所ですが、バックに暴力団やヤクザが付いている闇金と渡り合うにはそれなりの専門知識とノウハウ・実績が必要です。
その辺りからアディーレ法律事務所とヤクザの関わりが噂になった可能性が考えられます。
警察でもヤクザ(暴力団)を取り締まる部隊を丸暴と呼び隊員はヤクザ(暴力団)と変わらない雰囲気ですが、それと似た様なことではないでしょうか?
また、アディーレ法律事務所が、芸能人やヤクザ(暴力団)絡みの事件を多く担当していることも事実です。したがって、アディーレ法律事務所がヤクザ(暴力団)と関わっているという決定的な証拠は無いと言えます。
離職率の高さから見られる労働問題
こちらもアディーレ法律事務所の労働問題を公平かつ客観的に判断するために、労働問題に関する口コミ情報を出来るだけ多く検索しました。
「アディーレ法律事務所の労働問題に関する口コミ情報」
「良い評判」
- 30代・管理系女性正社員「一般事務に就きたく未経験者でも採用してくれた。人手不足もあってか面接は一回のみですぐ決まりました」
- 30代・同「女性管理職もそれなりに人数はおり育休や産休も最近はよく利用されているので続けやすくはあると思います。復職時も仕事ができる人はポジションは守られています」
- 30代・同「若くても重要なポジションに就けるチャンスがあることは良いと思います。異業界からの転職者でも上長に認められれば上に上がれます」
- 20代・同「男女の分け隔てなく実績のある人間は出世できる。実際、女性管理職も多く見受けられ、旧来の企業と比べ全体的に年齢も若く実力主義だ」
- 20代・事務系女性正社員「最近になって東京本社で研修ができるようになり手厚い研修制度が設けられたのではないかと思う。債務整理に特化した教育はかなり行われている」
- 30代・同「産休・育休制度はよく利用されておりアルバイトも利用できる。人手不足のためブランク明けであっても居場所がないということはない」
- 30代・管理系男性正社員「効率化が徹底されている。実績をあげれば昇格していける。組織的に働くすべを身に付けられる」
「悪い評判」
- 30代・企画事務系女性正社員「入社して早いうちから即戦力を求められるので、ついていけない人も多く見てきました。できる人はどんどん仕事を任せられるが限度がある」
- 30代・同「上の人たちの考えが末端まで届いておらず、今後どういう方向性でやっていくのかも全く伝わってこない」
- 30代・同「以前は夏も特別賞与があったけれど今は冬しかありません。業務量は増えているためモチベーションが下がった人も多くいます」
- 30代・管理系女性正社員「仕事のできる人とできない人の給料にあまり差をつけてもらえないのは士気が下がるところです」
- 30代・同「とにかく一人あたりの業務量が多く結果残業が多いです。みなし残業時間が40時間あり状況的にそれ以上残業せざるを得ませんが超過残業代は出ません」
- 20代・同「生理休暇が入社時にはあると聞いていたものの、取得すると欠勤の扱いにされたりして結果として評価が下がってしまう」
アディーレ法律事務所は弁護士が教える「労働トラブル解決サイト」を運営していますから、そのアディーレ法律事務所自体に労働問題があるとすれば大問題ですが、上記の「労働問題に関する口コミ情報」を見る限り深刻な労働問題があるとは思えません。
ただ、残業時間や産休・育休制度などの詳細については、外部から見え難い部分があることは否定できません。
もともと、アディーレ法律事務所は2004年に設立され、その後、急成長してきた新興法律事務所ですから、人の出入りが激しくなることは一般企業でも有り得ることです。
また、弁護士が事務所を渡り歩くことも稀ではありませんので、弁護士を180人も抱えていると出入りも激しくなると考えられます。その結果として全体の離職率が高くなることは否定できません。
懲戒処分?とも言われた景品表示法違反(有利確認)の問題
アディーレ法律事務所の懲戒処分と景品表示法違反の問題に関しても、ネットには事実誤認の書き込み情報が多く見られますので、まず、時系列に沿って公平かつ客観的に事実を列挙します。
「2010年の懲戒処分」
東京弁護士会の懲戒処分の内容
処分を受けた弁護士:石丸幸人
登録番号30934 弁護士法人アデーレ法律事務所
処分の内容:戒告
処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は弁護士法人の代表社員であるが代表社員として同弁護士法人の業務につき懲戒事由の発生を防ぐべき措置を採らず同弁護士法人につき以下の懲戒事由を発生させた
ア 同弁護士法人は2006年11月6日有限会社Aの破産申立事件並びに同社の代表者B及び取締
役Cの破産申立事件及び免責申立事件を受任したところが同弁護士法人はその後A社の財産を保全する義務を怠り、また速やかに破産申立てをなすべき義務を懈怠しこれにより破産申出時において破産財団を構成すべき約587万円の財産を消失させた
イ 同弁護士法人は2005年12月2日有限会社Dの破産申立事件並びに同社の代表者Eの破産申
立事件及び免責申立事件を受任したところが同弁護士法人はD社の財産を保全しべき義務を懈怠しD社の財産管理一切を安易にEに任せ債権者への偏額弁済を許しその結果破産申立時までに約650万円の財産を不当に消失させた
ウ 同弁護士法人は2005年12月2日にD社らの破産申立事件を受任してから2008年1月7日にD
社らの破産申立てをするまでの間合理的理由が存在しないにもかかわらず2年以上破産申立をせずこれにより破産管財人による偏額弁済の否認権行使が妨げられて破産財団に損害を及
ぼした
エ 同弁護士法人はD社からの同社の破産申立事件を受任してその業務を行っていたにもかかわ
らずその後2007年1月13日D社の債権者であるF株式会社から破産申出事件を受任しF社がD社の債権者であることを知り、さらにF社がD社から偏額弁済を受けていたことを知ってからも
なおF社の破産申立事件に係る業務をおこなった
オ 同弁護士法人は2007年1月13日F社及び同社の代表者Gら計4名の破産申立事件を受任し
た。ところが同弁護士法人は財産の保全も含めた破産申立事件の受任者としてなすべき業務遂行を懈怠し、これにより約350万円の財産を消失させた
(2)被懲戒者はD社の破産申立代理人でありながら同社の破産申立てを遅延させまた財産保全を懈怠し、これにより上記のとおりD社の財産を不当に消失させた
(3)被懲戒者の上記各行為はいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する
処分の効力が生じた年月日 2010年10月5日
2011年 日本弁護士連合会
「2016年の消費者庁の景品表示法違反(有利誤認)に基づき再発防止を求める措置命令」
(毎日新聞2016年2月16日記事より)
消費者庁は2月16日、弁護士法人アディーレ法律事務所に対し景品表示法違反(有利誤認)に基づき再発防止を求める措置命令を出した。
同庁によると同事務所は2010年10月6日から2015年8月12日まで約4年10カ月にわたり、一定期間中に申し込むと消費者金融などへの過払い金返還請求の着手金を無料にしたり、債務整理の着手金を値引きしたりするとホームページに表示していた。
期間はそれぞれ約1カ月間としていたが実際は同様の内容のキャンペーンを毎月途切れなく続けてた。またこの間、過払い金の額などの診断を無料で行うキャンペーンを約2年間、90日以内に契約解除を希望した場合に着手金を全額返還するキャンペーンを約9カ月間、それぞれ継続していたがいずれも表示は毎月約1カ月間の期間限定としていた。
同事務所は全国に72本支店を展開する大手法律事務所。2004年の開業から今年2月までで約28万件の過払い金回収業務を請け負ったとしている。
広報部は「毎月継続の有無を判断しており不当表示だとの認識はなかった。消費者庁の指摘を真摯に受け止め再発防止策を徹底する」とコメントした。
「2017年4月東京弁護士会などの綱紀委議決」
(産経ニュース2017年4月3日記事より)
過払い金返還訴訟を数多く手掛ける弁護士法人大手「アディーレ法律事務所」が不適切な宣伝を理由に消費者庁から行政処分を受けた問題で、東京弁護士会など複数の弁護士会の綱紀委員会が法人としてのアディーレと代表の石丸幸人弁護士(44)、複数の所属弁護士について、「懲戒審査が相当」とする議決をしていたことが2日、関係者への取材で分かった。
今後、各弁護士会の懲戒委員会が懲戒の是非や懲戒内容を検討する。
弁護士懲戒は、
(1)懲戒請求者からなされた懲戒請求を各弁護士会の綱紀委が審査
(2)綱紀委が「懲戒処分の可能性が高い」と判断した場合、各弁護士会の懲戒委員会に審査を付す
(3)懲戒委が懲戒するかどうかや処分の重さを判断するという流れ。
綱紀委から懲戒委に審査が付される割合は5%前後で、そのうち懲戒委の審査で実際に懲戒処分が下るのは6割前後とされる。
上記の通りアディーレ法律事務所の「懲戒処分」については、「2010年の懲戒処分」と「2016年の消費者庁の景品表示法違反(有利誤認)に基づき再発防止を求める措置命令」と「2017年4月東京弁護士会などの綱紀委議決」があり、ネットの情報はこれらを混同している情報が目立ちます。
酷いケースは、これらの情報と石丸幸人代表弁護士の1995年の酒気帯び運転で3回逮捕された事件を混同しているケースや、これらを意図的に結び付ける書き込みも見られます。
したがって、整理しますと「2010年の懲戒処分」は戒告で既に決着済みです。
一方、「2016年の消費者庁の景品表示法違反(有利誤認)に基づき再発防止を求める措置命令」は2016年2月16日に下され、既に、アディーレ法律事務所は消費者庁の措置命令に従っています。ただ、消費者庁の措置命令を受けて各地の弁護士会が綱紀委員会を開き30以上の弁護士会の綱紀委は「懲戒しない」との判断を示しましたが、東京弁護士会など複数の弁護士会の綱紀委員会が法人としてのアディーレ法律事務所と代表の石丸幸人弁護士(44)と複数の所属弁護士について、「懲戒審査が相当」とする議決をしています。
現在、東京弁護士会など複数の弁護士会の懲戒委員会が懲戒の是非や懲戒内容を検討しており、今後、懲戒の是非や懲戒内容が決められることになります。
つまり、現時点においては、「2016年の消費者庁の景品表示法違反(有利誤認)」に対するアディーレ法律事務所への「懲戒処分」については何も決まっていないということです。
身から出た錆とは言えアディーレ法律事務所に対するネット情報は、余りにも悪い方へのバイアスが目立ちます。もちろん、法律事務所が懲戒処分を受けることは望ましいことではありませんが、多くの依頼事件・依頼案件を抱える大手法律事務所で一度も懲戒処分を受けていない事務所は少ないのが現実です。